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「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」に行ってきました

「日本美術をひも解く」ポスター
「日本美術をひも解く」ポスター

メインビジュアルのポスター左側:伊藤若冲「動植綵絵 向日葵雄鶏図(どうしょくさいえ ひまわりゆうけいず)」(国宝)に惹かれて、東京藝術大学大学美術館で開催中の「日本美術をひも解く」に行ってきた。

本展は、宮内庁三の丸尚蔵館が収蔵する皇室の珠玉の名品に、東京藝術大学のコレクションを加えた82件の多種多様な作品を通じて、「美の玉手箱」をひも解き、日本美術の豊かな世界をご覧いただくものです。代々日本の文化の中心に位置して美術を保護、奨励してきた皇室に伝わる多くの優品は、特筆すべき重要な存在です。

また、本展が開催される東京藝術大学は、前身である東京美術学校で岡倉天心が1890年に初めて体系的に日本美術史の講義を行った場所でもあり、以降、芸術の教育・研究機関として重要な役割を担います。本展は、このような歴史的背景をもつ両者共同ならではのアプローチで、貴重な美術品の数々の魅力をわかりやすくご紹介します。

東京藝術大学大学美術館 The University Art Museum, Tokyo University of the Arts (geidai.ac.jp)

なんと展示期間をよく確認しなかったために若冲のこの作品は観られなかった…(展示期間は8/30~9/25)!!しかし他の作品たちも素晴らしくそんなにショックは受けずに済んだのでよしとしよう。

芸大といえば「ブルーピリオド」!と思ったがコロナ対策でキャンパス内には(食堂なども)入れずだった。

ロケーション

美術館は立地が優れているなと感じることが多いが、殊に上野公園というロケーションは楽しい。美術館も博物館も動物園もあるしカフェに立ち寄りながら散歩も楽しめるし、そこらへんの建物がおしなべて美しい上に路上パフォーマンスや大道芸なんかもやっていたりする。私が訪れた時には芸大生の手によるものらしい作品が展示されていた。

上野公園屋外展示
一緒に寝転びたいけど囲いがあって入れない作品

今回はJR上野駅から芸大美術館まで歩いたが、かなり歩いた感がある。ランチを求めて歩きまわったこともあり、感度がものすごく低い私の歩数計でもこの日は1万歩超えであった。

運営、客層など

まずは「会期がうまく区切ってあるな~」という印象だった。先ほども述べたように若冲の作品と円山応挙の「牡丹孔雀図(ぼたんくじゃくず)」が見られなかったが、狩野永徳・狩野常信「唐獅子図屏風(からじしずびょうぶ)」(これも国宝/ポスター右側)と酒井抱一の「花鳥十二ヶ月図(かちょうじゅうにかげつず)」が見られたので満足度は高かった。華やかかつネームバリューのあるものは分散させるのだろう。

最近は「出品リストはスマホで見てね」というふうにQRコードだけ掲示してある美術館も多いが、こちらは出品目録がちゃんと紙で用意してあってホッとする。「ワンポイント作家解説」という紙も用意してあり、ゆっくり読めてよかった。

若い人は当初ほぼいないように感じたが、時間が午後に近づくにつれて若者たちの姿が見えるように。日本の古い芸術に興味のある若い人が多いのは嬉しいことだと思う。
しかしじっくり見る人が多いのか、列の進まなさがすごい…「お進みください」という声掛けは何回もされていたが、展示物が小さめの巻物などコマゴマした物が多いから混むようにも思う。もっと大きな屏風なんかを間に挟むと列がうまく進むようにも思うが、「国宝です!デーン!」というものを「列の進みを調整するために挟む」というのは作品に対して失礼か。展示ケースの配置の仕方にも制約はあるだろうし、うーん難しい…

なおチケットもカフェも現金オンリーなのでキャッシュレス派、クレジットカード派の人は現金をお忘れなく。

作品 第1会場

まず会場に入って最初に目に入ってきた菊の蒔絵螺鈿(まきえ・らでん)の棚がポール&ジョーのお花模様↓に見えてしまった。か、カワイイ…!皇室のお姫様が使うためのものならこの「可愛い」という感覚も間違いではない気がするが、ものの由来はよくわからない。明治の頃に制作されたということだ。

巻物などの展示も多かったが、千年以上前(奈良時代)の紙が残ってるのってすごいよな…とモノ自体よりも古さにロマンを感じた私であった。これまで自分があまり触れてこなかったジャンルの作品(お経や文字の資料、仏像の拓本など)も多かったが、「拓本とは?」といった基本的な説明も展示ケースのすぐ横にあってありがたい。
人の書いた文字の美しさに感嘆するとともに、どんなことが書いてあるのかサッパリだったので書き下し文や意訳も読みたいと思った。そこまで用意するのは大変なのかな…

作品自体を見ないと何のこっちゃかもしれないが一つ一つの作品についても語りたい(すべて撮影NGでした)。
14「源氏物語図屏風」の蜻蛉(かげろう)かな、風に揺れる柳の表現にハッとする。最初は「この着物かわいい~」とか細かいところを見ていたけど、右から左に鑑賞を進めていくと柳が出てきて絵の印象がまったく変わった!そして源氏物語ならではなのか、女性は見分けがつかないが男性の顔は結構個性があるなと。
18「伊勢物語図屏風」の解説で、好きだな~と感じてきた日本の絵が「やまと絵」というものだと知る。線が細くてこまかくて、人間の手仕事の可能性にワクワクする。過去の作品なのに可能性にワクワクする!特に馬がステキ。機織りの様子など、当時の風俗も伝わってくる。松の葉の緑はこの色だよね!わかる!!
21「絵師草子」鎌倉時代のものだがコミックタッチで素朴で親しみやすい。本当に漫画みたいで、ストーリーもなんとなく伝わってくるのがすごい。
26「西行物語絵巻」かの有名な尾形光琳の手によるものということで、淡い緑と紫の溶けたような草花が美しい。
32「酒伝童子絵巻」は今回の展示の中で最も美しいと感じた。描かれている装束も植物も何回でも見たいし、いつまででも見ていられる。会期中に巻替えがある。鬼退治の話のようだが(よく知らない)、鬼が犬とか狐みたいな顔をしているのが印象的だった。山伏に変装した人々が鬼の棲み処を襲撃するという話だが、山伏のことを鬼が歓迎するの?というのが不思議だった。そのあたりの常識がわからなくて残念だが、わからない中でも表情豊かで心惹かれる作品だった。
31「をくり」出産シーンが描かれている!自分が妊婦なのでそういうものに敏感になっているかもしれない。貴族らしき地位の高い人の出産だからか、立ち会いの人数がものすごい。そして一人一人が働いたりアワアワしていたりとキャラクターが立っている。こういう表現は西洋画よりも日本の絵でイキイキと表現されるように思う。昔からコミック的といおうか。一人ひとりに愛嬌があってこれも好きな作品だ。

明治~大正時代の彫刻なども複数あったが、やはり江戸を過ぎると西洋の影響がかなり感じられる。西洋の作品は西洋の作品で素晴らしいし西洋の影響を受けた作品も素晴らしいけれども、個人的には日本!!という個性がある作品が好きだ。
古いものの中には作品現本でなく写本もあったが、写したのが何百年も前ならそれはそれで価値が出るんだなと。下手でもあじわい深いものだった。

ミュージアムカフェ

展示は地上3階、地下2階と二つの会場に分かれており、2階にショップとカフェがある。3階の展示を見終わったら小腹が減ったので1つ階段を降りて11:30頃カフェ入店。ちなみにショップの奥の奥までいかないとカフェにたどり着かないので途中で不安になった。なおかつスタッフが忙しそうでなかなか案内してもらえない。が、椅子に座ってジッと待っていると声をかけてもらえた。
ホテルオークラがやっているというミュージアムカフェで、カレーなどの一皿料理もお値段高めの印象。

芸大美術館カフェメニュー
芸大美術館カフェメニュー

ランチに行きたい店が他にあるので、ひとまず小腹を満たしてくれるものを探して「冷やしぜんざい(塩昆布、緑茶つき税込800円)」、キミに決めた!

芸大美術館カフェの冷やしぜんざい
芸大美術館カフェの冷やしぜんざい

ぜんざいは容れ物がプラスチックなのが残念だが、盛りがよい。白玉とか栗とか入ってたら飽きなくてよいのに…と思ったが普通においしいし、塩昆布と苦めの緑茶で飽きることなく完食。あんこ大好き。

10卓くらいしかないので12時前には満席に。私も席待ち人に気を遣ってすぐに出た。公園の緑が存分に見えるのかと思いきや、昔の展覧会のポスターが貼ってあるくらいで無機質な印象だった。デートなんかでゆっくりするというよりは、鑑賞の合間の栄養補給に…という感じだろうか。ビールを頼んでいる人もいたが、席待ち人が近くで見ているのであまりゆったり楽しめない気がする。

作品 第2会場

42酒井抱一の「花鳥十二ヶ月図」は本当に美しかった!どれもきれいだけど、特に桜は咲いた喜びが感じられてほっとする。花弁が透けるようなやさしい白。そして柿に食いつく小鳥のかわいさよ!
60「羽箒と子犬」は彫刻。たれ目でブサカワの子犬がきゃわわ!
48「龍蛟躍四溟」は龍が好きな私としては外せない作品だった。龍と蛟(みずち)の目がギョロッとしてるからかちょっとファンキーで。洞窟の墨の濃淡と風が渦巻く幻想的な感じと、右上の漢詩の文字もかわいい系。
34「唐獅子図屏風」も大変見ごたえがあった。桃山時代に狩野永徳が描いた右隻に、江戸時代に狩野常信(永徳の曾孫)が描いた左隻。唐獅子ってわし鼻で人間みたいな顔だな。画風が違うのを比較できて面白かった。
73「七宝四季花鳥図花瓶」は見れば見るほど美しい。民芸品というか趣味レベルの七宝しか見たことがなかったので、こんなに細かくてきれいなものかと驚いた。
74「七宝寰宇無双図額」では平面の絵画に七宝を使っていた。そんな手法があることを初めて知った!

点数のわりにチケットが当日一般2,000円というのは少し高い気もしていたが、見ごたえのある作品が多かったので最終的にはリーズナブルだと納得。

周辺情報、半券サービス

芸大美術館はアトレなど駅ビルの半券サービスもあるが、せっかく公園の奥の方にきたのでちょっとよいところへ行きたい私。事前に調べたところによると公園内の「韻松亭(いんしょうてい)」がよさそうだが、予約していないと厳しいかもという情報。かといって予約すると追い立てられるように鑑賞することになってしまうので、そのあたりの「〇〇亭」いずれかで食べられたらイイナくらいの緩さで昼過ぎに行ってみた。

韻松亭に行ってみると、既に5組くらい並んでいる!この炎天下で待つのはちょっと…ということで「新鶯亭(しんうぐいすてい)」を覗くが、ここは甘味、軽食のみでランチはやっていなさそう。「上野精養軒(せいようけん)」は西洋料理だな…米が食べたいからな…最後にたどり着いた「伊豆栄梅川亭(いずえい うめかわてい)」は13:30で入店待ち3組目。中の涼しいところで待てそうだったので待つことに。うなぎがウリらしい。

ちょうど入れ替わりの時間帯だったらしく、意外にも10分ほどで案内してもらえた。妊婦だからか座敷の中でも椅子席を案内してくれて嬉しい。畳敷きだがどことなく和洋折衷の雰囲気だ。

伊豆栄 2階客席
伊豆栄 2階客席(たまたま人がいなくなったタイミング)

2階の窓から緑が映え、大きな絵やシャンデリアも素敵(絵はちょっと冬っぽいけど…)。音楽が日本的でなんだか正月気分に。スタッフのお姉さん方が和装で美しい!袂を後ろにやって黒い髪ゴムらしきものでさりげなく留めておられたが、たすき掛けよりカジュアル感が抑えられてよいやり方だなと思った。でもってスタッフのお姉さん、めちゃめちゃ働く!しゃかしゃか素早い動きで全然はんなりしていないけど、これが大正くらいのエッセイによく書かれている「東京の女」的なものなのかなと感じた。上野だし。

うなぎは高いので平日限定ランチ「筍ごはん」税込2420円に。ああメニュー写真だけでおいしそう。米を食べたい気持ちを妥協しないでよかった!

伊豆栄 筍ごはん
伊豆栄 筍ごはん

三段の塗のお重で登場。素敵!天ぷらの段、オードブルと甘味の段、筍ごはんの段と分かれている。

天ぷらはちょっと時間がたっているのか若干冷めてしんなりしていたのが残念。でもゴーヤにオクラに川魚にヤングコーンにみょうがの天ぷら…夏だね!いいね!
筍ご飯はシーズンでないせいかタケノコが少ないと思ったが、貝柱など他の具がわりとたっぷり入っているので物足りなさはない。
赤だし(右上のお茶っぽい器)はどこでいただいてもしょっぱいものだと思っていたが、しょっぱすぎなくて程よい塩味。

煮物などは普通においしい。オードブル重はあらかじめ作って冷やしてある様子。わさびがのったものは枝豆の豆腐だろうか?とろっとしてさわやかでうまい…!仕切りの緑のやつ(バラン)がよくあるプラスチックでなく和紙製のようで感心。さすが!右下の漬物がとても多くてアルコールが気になる妊婦なので酒糟漬だけ残させてもらいました(申し訳ない)。米にも味ついてるのにサービスいいな。

オードブル段の左下の一画はオール甘味!うれしい!
麩饅頭?の麩が笹にめちゃくっついてしまって上手に食べられない(´▽`)そして…くるみゆべし、うまし!くるみが歯ごたえも風味もちゃんとしている。

伊豆栄 湯呑
伊豆栄 湯呑

暑い季節でも冷水でなく温かい番茶をだしてくれるのが老舗ぽくてよい気分。湯飲みも持ちやすい素敵な形だった。全般的に味は「う…うまい!!死ぬほどうまい!」というほどでもなく、まあ普通かなと思ったが、この雰囲気と上野公園というロケーションに和装のキビキビ姉さんたちを考えると一度来てもいいんじゃないかしらと思います(´▽`)
うなぎは爆裂に旨いのかもしれないしね。高級気分を味わえて楽しいランチでした。

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