世田谷パブリックシアター で上演されたピーピング・トム『マザー』を観てきました。初めて聞いたカンパニーでしたが、「次代のピナ・バウシュ」と称されているそうな。
ベルギーを代表するダンスカンパニーLes Ballets C. de la B.の中心メンバーとして活躍してきたガブリエラ・カリーソと、フランク・シャルティエによって2000年に結成。未知なるダンスの創造を目指してカンパニーを「ピーピング・トム=覗き屋」と命名。
ピーピング・トム『マザー』 | 主催 | 世田谷パブリックシアター (setagaya-pt.jp)
ダンサー、俳優、オペラ歌手ら、ジャンルも国籍も、世代すらも多様なアーティストたちが生みだす驚異のパフォーマンスは、伝説の舞台としてダンス史にその名を刻み、次代のピナ・バウシュと称されてきた。人間技とは信じがたいオリジナルなムーブメント、他の追従を許さない独創的なスタイルから、全世界の熱狂的な支持を集めている。現代社会の抱える闇へと果敢に切り込み、最も過酷な場面でさえ、美しさとユーモア、愛に満ちたエモーショナルなステージとして名高い。
全裸!?の男性がピアノ?棺?にのっているような…この写真に惹かれて行ってみました。平日夜の公演でしたが笑いが起きたりホットな観客が多く、ほぼ満席。

この写真の場面は、美術館をイメージしたシーンでした。裸の男性と棺を指して「これは『墓に片足』という作品です」とのセリフ。裸の男性はもちろん生身の人間で、閉館時間になると「お疲れ」って帰っていくくだりで笑いが起きていました。ちなみに右の女性はお掃除の人らしい。このシーンは言葉がわからなくても笑っちゃった。ピナバウシュよりだいぶひょうきんだと思うのは私だけ?笑
テーマ「母」
テーマは「母親」ということですが、「生まれること」と「死ぬこと」に関するオムニバスの様相を呈していたように感じました。母をテーマにすると、どうしても「産む」が付いてきますもんね。それからクリエーションの過程で出たであろうお母さんの思い出などがちりばめられていて…でもなんだろう、ママ自体は不在で「ママと向き合っていた私」を思い出している印象でした。
死、介護、病…とさかのぼっているのかと思ったけど、そういうわけでもなさそう。場面ごとのつながりはあまりないように感じます(私の読解力が足りていない可能性もあります)。
なんとなく母に関するトラウマみたいなものが多いのかな。「読後感すっきり」ではないです。でも母の汚さ、いやらしさも描いてるのに、だからこそ失ったときの尊さが際立つのがすごい。なんだか幸田文の「おとうと」を思い出しました。
どの人が何の役ってかっちり決まってたのかな?ちょっとよくわからない。掃除のおばさんは特に不思議な存在でした。けど最後、おばさんが床の血を拭いているところに照明を絞って、振り返って終わり…というところを見ると重要な役どころなのでしょう。血って女性性が際立ちます。家事ばかりで終わってしまった一人の母の人生を思う。心臓出血で亡くなったのかなとか。
アルゼンチン人のガブリエラ・カリーソさんの演出だそうですが、「母」のイメージって国は関係なく日本もアルゼンチンもフランスも共通しているのだろうなと思いました。唯一無二の母を愛しているからこそ一口では言えない難しい感情を抱いているような。思い出すと痛いような…そういう、ポジティブじゃない愛も感じました。
印象に残ったシーン
まず最初!すごく引き込まれました。静謐な水音が印象的。
若い女性が掃除のおばさんの涙をふいて、床をふいて、床は水浸しで…(水音で水浸しらしきことがわかる)母親の失禁を彷彿。水浸しのところを這いまわるような踊りと水音を立てるタイミングがすごく合っていてスゴイ!と思ったら後ろのブースでアテレコしてました…!水で実際に音を出して。
ああいうふうにやれば舞台上に水がなくても水が張った中を動いているように見えるのねー!ピナバウシュは「フルムーン」だかで舞台上に実際水を張っていたけど、また違った効果があります。
それから今日イチでウケていたシーン。分娩でいきんでいるところ、もういっちょいきむと思いきや歌い出すというくだり。歌うめえー!
ダンス
いわゆる「ダンス」な動きはそんなに多くなかったです。柔軟性のあるダンサーが多くて、そっくりかえって手がガバー!という動きが多かった印象。
助産師?妊婦?(湯浅永麻さん)がゴム手袋をして踊っていたシーン、手が長い演出がよかったです。不気味な感じで、妊産婦のある種のグロテスクさも兼ねそなえていました。
構成など
演劇ともダンスともつかない、観客各人のイメージを喚起するような舞台だったと思います。英語の台詞があまり聞き取れなくて残念でした(台詞自体は少ないけど)。参考訳の紙は配布されていたのですが、私が入場した時には品切れで終演後にやっと読みました。
場面が転換しても大道具などは変更なく進んでいきますが「ここは新生児室だな」「火葬場なのかな」と、わかる感じ。舞台美術を最大限活用して想像を膨らませる手法は好き!カンパニーデラシネラの舞台もそういうところが好きなのです。
一方で「また観たい!」とは思いませんでした。単純に好みの問題かな。どこか不安になったり、ギクッとする体験を愛する人は好きかも。ユーモラスな部分もあるんだけど、根底に流れているものは赤黒いという感じがします。
周辺情報
平日夜の回だったので、仕事終わりの夫に子供を預けて急いでGO!ゆっくりご飯を食べる時間もないけど、お腹が鳴ったら困るし…と、スピードを重視して三軒茶屋東急ストア内の「回転寿司みさき」へ。

思うまま色々食べて1500円ちょい。混んでいなかったのもあり、提供が早いのですぐ食べてすぐ出られました。問題投稿の報道で回転寿司人気が落ちてるせい…?




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